ここまできた!
老化・寿命研究の最前線
これまでNMNの有効性の実験で、マウスに1年間NMNを投与したところ通常のマウスに比べ、中年太り(体重増加)、加齢によるエネルギー代謝の低下、骨密度の低下、眼の機能低下など多くの臓器の機能低下が抑えられることがわかりました。加えて、糖尿病、アルツハイマー、心不全、腎不全などその他の疾患にも効果があることが明らかになっています。
つまり、NMNによる明らかな抗老化作用が確認されたのです。
つまり、NMNによる明らかな抗老化作用が確認されたのです。
サーチュインが関与する疾患

Cell Metab. 2018 Mar 6;27(3):529-547.
サーチュインファミリーの機能と関連疾患
分子名 |
局在部位 |
機能 |
関連疾患 |
---|---|---|---|
SIRT 1 |
核、細胞質 |
糖代謝、脂肪酸化、サーカディアンリズム、炎症 |
糖尿病、認知症、寿命 |
SIRT 2 |
核、細胞質 |
細胞増殖抑制、DNAダメージ、炎症 |
癌、炎症性疾患、 心疾患、寿命 |
SIRT 3 |
ミトコンドリア |
エネルギー(ATP)産生、クエン酸回路、 電子伝達系・酸化的リン酸化、アミノ酸代謝、 脂質代謝、タンパク質代謝、 活性酸素(ROS)、ミトコンドリア品質管理 |
心疾患、神経変性疾患、 急性腎炎、癌 |
SIRT 4 |
ミトコンドリア |
アミノ酸代謝、脂質代謝、クエン酸回路 |
癌、肥満 |
SIRT 5 |
ミトコンドリア |
脂質代謝、解糖系、活性酸素、尿素サイクル |
癌、心疾患 |
SIRT 6 |
核 |
ゲノム安定性、テロメア、セントロメア制御、 DNA修復、糖代謝、脂質代謝 |
癌、炎症性疾患、 心疾患、寿命 |
SIRT 7 |
核 |
リボソーム生合成、細胞ストレス応答 |
代謝性疾患、癌、寿命 |
Introductory Review on Sirtuins in Biology, Aging, and Disease,1st Edition. 2018 Academic Press.
老化抑制を期待して、
NMNを日常的に摂取する
NMNは、母乳や緑黄色野菜にも含まれており、ブロッコリーやアボカド、枝豆など食品からの摂取が可能ですが、その含有量は極微量です。なおかつ、NMNが体内で変換されるNADは、加齢とともに徐々に減少し、50代後半で若い時の半分程度になり、さらにその後も減少していくため、食事だけで補うことができなくなります。そこでサプリのような形でNMNを補填し、老化現象を抑制しようということなのです。

食物中のNMN量
食品 |
NMN含有量 mg/kg-food |
食品重量 kg/250 mg※-NMN |
NMN 250 mg※相当に達するには どれだけ食べればいいか? |
備考 |
---|---|---|---|---|
枝豆 |
5 - 19 |
14 - 54 |
20,000個 |
3g /粒 豆:さや=1:1重量 |
ブロッコリー |
3 - 11 |
22 - 100 |
4,000房 |
350g / 株 25g /房 |
きゅうり(種) |
6 |
44 |
ー |
140g /きゅうり |
きゅうり(皮) |
7 |
38 |
ー |
140g /きゅうり |
キャベツ |
0 - 9 |
0 - 28 |
28個 |
1kg /個 |
アボカド |
4 - 16 |
16 - 70 |
600個 |
170g /個 120g (可食部) /個 |
トマト |
3 |
84 - 96 |
600個 |
150g /個 |
マッシュルーム |
0 - 10 |
0 - 24 |
2,000個 |
12g /個 |
牛肉(生) |
1 - 4 |
60 - 416 |
2,000ステーキ |
150g /ステーキ |
エビ |
2 |
114 |
10,000尾 |
10g /尾 |
※ 現在、NMNの臨床研究において1日にヒトが摂取している量
Cell Metab. 2016 Dec 13;24(6):795-806.生ミルク中のNMN量
種 |
NMN含有量 μM in milk |
NMN含有量 mg/L-milk |
NMN250 mg※相当に達するには どれだけ飲めばいいか?(L) |
備考 |
---|---|---|---|---|
ヒト |
6.1 |
2.0 |
122 |
ー |
牛 |
0.9 |
0.3 |
832 |
市販の牛乳には含まれない |
バッファロー |
0.0 |
0.0 |
ー |
ー |
羊 |
0.3 |
0.1 |
2,494 |
ー |
ヤギ |
2.1 |
2.1 |
356 |
ー |
ロバ |
0.4 |
0.1 |
1,870 |
ー |
※ 現在、NMNの臨床研究において1日にヒトが摂取している量
Food Chem.2017 Apr 15;221:161-168老化抑制のメカニズムと
NMNの役割
老化制御のメカニズムとNMNの役割を理解していただくために、NAD、ミトコンドリア、サーチュインを通してご説明します。

[ NMN ]
NMNを口から摂取すると細胞表面に存在する
NMNトランスポーターを介して細胞内に取り込まれ、
NADに変換されると考えられています。
NMNトランスポーターを介して細胞内に取り込まれ、
NADに変換されると考えられています。

[ NAD ]
NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は
あらゆる生物の細胞に入っていて、
エネルギーを生み出す際に使われるいわば、体内の代謝の源です。
しかし、NADは歳を取れば取るほど体内から減っていきます。
そして、NADそのものを摂取しても
細胞には取り込まれないことがわかっているため、
NADの前駆体であるNMNを摂取することが
効率的であると考えられます。
NADは、以下の2種類の方法で
老化抑制に利用されることが期待されています。
あらゆる生物の細胞に入っていて、
エネルギーを生み出す際に使われるいわば、体内の代謝の源です。
しかし、NADは歳を取れば取るほど体内から減っていきます。
そして、NADそのものを摂取しても
細胞には取り込まれないことがわかっているため、
NADの前駆体であるNMNを摂取することが
効率的であると考えられます。
NADは、以下の2種類の方法で
老化抑制に利用されることが期待されています。

ミトコンドリアでのエネルギー(ATP)産生
ATPとは、すべての生物が生きるために使うエネルギーのことです。すべての真核細胞やほとんどの古細菌と細菌がNADを利用してATPをつくっています。NADは、ATPをつくるために必須であり、NADがなくなると生物は死んでしまいます。
サーチュイン(SIRT)の活性化
老化抑制のメカニズムを知る上で、大切なものがサーチュインという酵素。聞き慣れない名前ですが、細菌から哺乳類まで幅広く生物に存在するタンパク質のことで、老化・寿命の制御に関わる特別な酵素です。ヒトには7種類のサーチュインがあり、全身の臓器の老化を制御していますが、通常は休眠しています。NADは、7種類すべてのサーチュインのスイッチとなります。つまり、加齢とともにNADが低下することでサーチュインのスイッチが無くなり、臓器や組織の機能が低下すると考えられています。
NMNはNAD上昇を介して、
サーチュインを活性化し老化を抑制する
