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R&D

老化をセルフケアする、未来のQOLを目指して

2019.09.17

老化を新しい切り口で考察したエキシビション

NOMONの始まりは、とあるエキシビションで発表された実験的プロジェクトだった。2018年12月に渋谷ヒカリエで開催された、TEIJINの創立100周年記念イベント、「THINK HUMAN EXHIBITION」。これは、現代において人間が抱える問題を、独自の切り口で考察したいくつかの実験的な取り組みの成果を展示したものだ。ここでは、その取り組みのひとつであり、NOMONの原点となった「加齢」プロジェクトについてご紹介しよう。

「THINK HUMAN EXHIBITION」でのプレゼンテーションのため、老化研究の第一人者であるワシントン大学 医学部 発生生物学部門・医学部門の今井眞一郎教授とともに、老化をコントロールできる未来についての考察を重ねてきたTEIJIN「加齢」プロジェクトチーム。当日は今井教授に加え、高精度の脳波デバイスを開発するPGV社の最高科学責任者で、脳波から脳年齢を推定する手法を開発した水谷治央さんをゲストスピーカーに迎え、「老化をいかに迎え入れるか」をテーマにトークセッションを行なった。

老化とどう付き合うか。その過程でプロジェクトチームが注目したのは「老化の可視化」だという。老化現象は目に見えるものの、長らく数値化することはできなかった。数値化、つまり老化の度合いを測れるようになれば老化はぐっと身近なものになり、セルフケアだって可能になるかもしれない。

このプロジェクトの検証によれば、数値化において鍵となるのが脳波だった。脳波とは、脳内にある神経細胞の電気的な活動のこと。これを計測することで生活リズムや睡眠リズムの移り変わりを明らかにできる。例えば、睡眠には浅いものから深いものまでいくつかのステージがあることが知られているが、若い被験者と高齢の被験者の脳波を比較してみると、年代別による睡眠ステージの違いがよくわかるのだ。

近年、老化と睡眠の間には明らかな相関関係があるといわれている。40〜50代で始まる脳の老化は、加齢により脳内に老化物質が蓄積し、それが脳神経細胞機能を低下させることで生じるとされている。つまり脳の機能低下を防ぐためには老化物質をためこまないようにすることが重要なのだが、これに役立つのが深い眠りだ。脳波をモニターしてみると、若い被験者は入眠直後に深い眠りがある一方で、高齢の被験者は深い眠りが少なくなり、覚醒の時間が長く、深い眠りに到達しにくくなっていることがわかる。とすれば、この睡眠リズムの違いにこそ、老化をコントロールするヒントがあるのではないだろうか。

さらに、この睡眠と覚醒のリズムにもNMN(=ニコチンアミドモノヌクレオチド)が関わっている可能性があることもわかってきた。もし脳波のモニタリングから深睡眠の割合を正確に測ることができるようになれば、NMNが老化現象に果たす役割が見えてくるだろう。とすれば、脳波をチェックすることで深睡眠をコントロールし、老化をゆるやかにすることが可能になるかもしれない。

そうした検証結果を踏まえ、会場内では脳波から来場者の脳年齢を計測し、その結果をモニターで放映するというデモンストレーションを行なった。自らの脳の状態を数値化することで、加齢を客観的に判断する……この研究が映し出した老化の未来像は、多くの来場者の興味を引きつけたのだ。

そう遠くない未来、NMNを中心に老化のセルフコントロールが当たり前になる時代がやってくるだろう。今井教授が指摘するように、NMNに加えて適度な運動やサーカディアンリズムを整える食生活など生活習慣にも気を配れば、加齢をポジティブに受け止め、充実した余生を楽しもうという未来が見えてくる。今井教授はそれを「プロダクティブ・エイジング」として提唱する。

エキシビションで識者により考察された、いつまでも個人の生活を満喫でき、社会にも貢献できる新しい年齢の重ね方。人生100年時代という長寿社会においてプロダクティブな人生を実現すること、これこそNOMONが目標とする未来のQOL(Quality of Life)なのである。

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