わさびスルフォラファンの
持つ様々な効能
わさびスルフォラファンは活性酸素の発生を防ぐことで、花粉症や癌、生活習慣病の誘発や様々な細胞・組織の機能低下を抑えることで老化抑制の効果が期待されています。また、激しい運動時の酸化ストレス軽減、シミやそばかすを改善する美肌効果、膝関節の痛みを和らげる抗炎症作用、血小板凝集抑制作用も確認されていて、血行の改善効果なども期待されています。
わさびスルフォラファンの抗酸化作用と脳神経細胞に対する効果
抗酸化作用
ポリフェノールなど通常の抗酸化物質は活性酸素に直接働きかけてこれを除去しますが、本わさびに含まれるわさびスルフォラファンの抗酸化作用は全くアプローチが異なり、そもそもの活性酸素を発生させないよう細胞自体に働きかけるのです。つまり細胞そのものの抗酸化能力を高めてくれます。実際、マウスを使ったある実験では活性酸素の発生を48%抑制しており、実際にラット細胞にわさびスルフォラファンを1度添加すると、酸化ストレスによる障害から細胞を守るタンパク質の発現が24時間上昇することも確認されています。
また、細胞を守るというプロセスにおいて重要な役割を担っているものに、NRF2というものがあります。NRF2は活性酸素などによる酸化ストレスによって活性化し、細胞を保護する働きがあります。近年、このNRF2を欠くと環境などの外的ストレスに対して弱くなるばかりか、活性酸素など内的ストレスの影響も受けやすくなることがわかってきています。そして、このNRF2を効果的に活性化するのがわさびスルフォラファンを含有する「わさびスルフィニル®」であることがマウスを用いた実験で、すでに確認されているのです。
※ 図は非臨床研究データをもとにわさびスルフォラファンの効果を図示したもので、
わさびスルフォラファンが実際にヒトでの効果を謳うものではありません。
活性酸素と抗酸化とは
SOD:Superoxide dismutase Blood 1990 76 : 835-841
脳科学分野も注目する脳内の
改善作用
アルツハイマー病では、脳内で発生する酸化ストレスや炎症が、病態を悪化させることが知られてきました。NRF2は、酸化ストレスを軽減するための遺伝子の発現を増加させたり、病的な炎症を引き起こす遺伝子の発現を低下させることで、様々なストレスから細胞を保護する役割を果たしています。
近年の研究では、アルツハイマー病モデルマウスの脳内では、異常タンパク質であるアミロイドβ沈着によるアミロイド斑により、酸化ストレス増加、ミクログリア活性化、炎症が引き起こり、神経細胞の異常と認知機能を認めました。一方、アルツハイマー病におけるNRF2活性化は、グルタチオン合成系酵素の発現を増加させ、還元型グルタチオンを増加させることで、酸化ストレスを抑制しました。さらに、NRF2活性化は炎症性サイトカインの発現を低下して、活性型ミクログリアを抑制し、炎症を軽減しました。これらの結果、NRF2活性化はアルツハイマー病モデルマウスの脳内の酸化ストレスや炎症を抑制して、その病態が改善することがわかりました。
※この図は非臨床データを元にしたイメージです。人体での効果を表している図ではありません。
脳年齢※ が3.4歳若返った
中高年の男女89名に、記憶や計算、空間把握などの設問により脳の認知機能が年齢相応かをチェックするテストをオンラインで実施しました。本わさび由来6-MSITCを30日間摂取した後のテストでは、脳年齢が平均3.4歳若返り、同年代と比較した偏差値は平均4.02高くなりました。
※ 健常者5,000名の標本データと比較して算出した脳年齢
認知症モデルマウスの記憶力が改善
本わさび由来6-MSITCが記憶力にどのような影響を与えるか、認知症モデルマウスを用いてPATテストを実施しました。
不快に感じる暗室を備えた小部屋にマウスを入れ、マウスが暗室を避ける時間の長さを計測。本わさび由来6-MSITCを溶解した水を10カ月間摂取したマウスは、水だけを摂取したマウスに比べ、暗室を避ける行動が確認されました。このマウスの脳内を調べると酸化ダメージが減少しており、脳機能が回復したことで記憶力が改善されたと考えられます。
運動習慣のない中高年の方の
認知機能の一部である
『判断力※1・注意力』を向上。
※1 情報を正確に処理する能力
6-MSITCは、認知機能に関する動物試験での研究成果が報告されています※2,3。そこで、運動習慣は認知機能を高めることから※4,5、日常的な運動習慣がなく物忘れを自覚する健康な中高齢男女37名(プラセボ群18名、本わさび由来6-MSITC群19名)に、本わさび由来6-MSITC(わさびスルフォラファン)を摂取していただき、認知機能に与える影響を調べました。
研究レビューのうち代表的なデータを引用※11
その結果、右図のように8週目の変化量で、本わさび由来6-MSITC群がプラセボ群※6 と比べ向上し、認知機能の一部である判断力(情報を正確に処理する能力)や注意力が改善することが示されました。※8
認知機能評価の中でこの注意機能の評価は、重要な位置づけにあります。注意は単一の機能ではなく、学習、記憶・遂行機能や作業記憶の活動を密接に支えていて、様々な認知機能と関連しています。
6-MSITCは細胞試験において、活性酸素の産生抑制による「抗酸化作用」※9 や、「抗血小板凝集作用」※10 などが報告されています。これらの作用が細胞ダメージを抑制することで、認知機能の改善に寄与した可能性が考えられます。
- ※1
- 情報を正確に処理する能力
- ※2
- Protective Effects of 6-(Methylsulfinyl)hexyl Isothiocyanate on A 1-42-Induced Cognitive Deficit, Oxidative Stress, Inflammation, and Apoptosis in Mice. Int. J. Mol. Sci. 19,2083-2102(2018)
- ※3
- Neuroprotection by 6-(methylsulfinyl)hexyl isothiocyanate in a 6-hydroxydopamine mouse model of Parkinson’s disease. Brain Reserch: 1589,93-104(2014)
- ※4
- 高齢者の認知機能と運動・身体活動の関係, 第25回健康医科学研究助成論文集, 129-136(2010)
- ※5
- Acute moderate exercise elicits increased dorsolateral prefrontalactivation and improves cognitive performance with Stroop test. Neuroimage, 50, 1702-1710(2010)
- ※6
- プラセボとは、有効成分を含まない(治療効果のない)薬のこと。本物の薬のように見える外見をしていますが、薬として効く成分は入っていない、偽物の薬の事です。
- ※7
- p < 0.05(2標本t検定)
- ※8
- The effects of wasabi root extract rich in 6-(methylsulfinyl)hexyl isothiocyanateon neurocognitive functions in cognitively intact middle-aged and older adults: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Jpn Pharmacol Ther. 47, 275-286 (2019). システマティックレビューに採用した一報
- ※9
- Inhibitory Effects of 6-Methylsulfinylhexyl Isothiocyanate on Superoxide Anion Generation from Differentiated HL-60 Human Promyelocytic Leukemia Cells. Food Science and Technology Research, 23, 343-348(2017)
- ※10
- ワサビのすべて, 学会出版センター(2006)
- ※11
- 最終製品の試験ではありません。
疲労感や睡眠に対する効果
疲労は、生体の大事なアラームとして位置づけられており、過剰な活動によって生じる体内の酸化ストレスや炎症によって生じることが知られています※。6-MSITCは、抗酸化作用と抗炎症作用を併せ持つ特徴があることから、抗疲労効果を示す可能性が高く、更に、疲労に関連する睡眠についても効果を示す可能性が期待されます。
※ Fukuda S, Nojima J, Motoki Y, Yamaguti K, Nakatomi Y, Okawa N, Fujiwara K, Watanabe Y, Kuratsune H., Biol Psychol. 2016; Jul;118: 88-93.
「わさびスルフォラファン(6-MSITC)」の疲労感と睡眠に対する探索研究
NOMON株式会社チーフテクノロジーオフィサー中島良太により、わさびの根茎に含まれる「わさびスルフォラファン(6-MSITC)」の疲労感、睡眠などに関する効果を評価しました。
研究内容は以下となります。
- ● 本試験食品:
- 「わさびスルフォラファン(6-MSITC)」含有サプリメント
(1粒に1.6mgの「わさびスルフォラファン(6-MSITC)」を含む) - ● 摂取方法:
- 1日3粒、4週間
- ● 対象者:
- 日常的な疲労を自覚している35歳以上~60歳未満の男女20名
- ● 疲労感に対する評価:
- 摂取前と摂取4週間後に、知的作業負荷検査の前後で
疲労感VASを評価した。 - ● 睡眠に対する評価:
-
起床時VASを摂取開始後1週間毎に実施した。評価項目は、
「精神的疲労感」、「身体的疲労感」、「疲労の解消」、「頭の回転」、
「集中力」、「自覚的ストレス」、「体の軽快さ」、「寝つき」、
「睡眠の質」および「寝起き、目覚め」の10項目とした。
VASとは:
“VAS”とは“Visual Analogue Scale”の略で、主に、定量化できないような痛み、不快感、空腹感など自覚データを数値化することを目的とした評価スケールの1つです。痛みを評価する方法としては最も広く使用されています。
測定方法としては、10cmの水平な直線上に被験者自身が測定項目の程度について印をつけてもらう方法です。
疲労感に対する結果:
知的作業負荷後の疲労感に関しては「わさびスルフォラファン(6-MSITC)」摂取前後で有意差はつかなかった。知的作業負荷前の疲労感は摂取前後で有意に改善した。
睡眠に対する結果:
「寝つき」以外の全ての項目で経時的な改善が認められた。特に「睡眠の質」は摂取1週間後から、「寝起き、目覚め」は摂取2週間後からという比較的早い段階から改善し、その効果は摂取期間中、持続した。
結論:
今回の研究は、単群オープンラベル試験であるため、結果の解釈には留意が必要であるが、「わさびスルフォラファン(6-MSITC)」が、健康な対象者の疲労感と睡眠に対して有望な改善効果をもたらす可能性があることが示唆された。
本わさびについて
本わさびは、学名:ユートレマジャポニカム(Eutrema japonicum)といい、深山の清い小川に生える日本原産のアブラナ科植物です。本わさびは健康に良いとされる野菜ですが辛味も非常に強く、一度に大量に食べることができません。一般的に食されている常温のチューブタイプわさびの場合も、長期保存のための副原料などが多く含まれており、希少成分である6-MSITCをほとんど摂ることができません。日本原産の植物で、飛鳥時代には滋養源として利用されていたといわれており、また、寿司や刺身に薬味として添えられるのは、本わさびに消毒効果や抗菌効果※があるためだといわれています。また一方で、本わさびは高い有用性を期待されて様々な試験が行われています。